お昼ご飯を食べた後、なんだか頭がボーっとして眠くなったり、オフィスに戻っても作業効率が下がっているように感じることはありませんか?
自宅に仕事を持ち帰って深夜まで仕事をしていたり、仕事のストレス解消にと遅くまでDVDや動画配信サービスを見てしまったりして寝不足が続いているなど、日中に眠くなってしまう方は意外と多いです。
そんな中で、作業効率をアップするための対策として、最近、企業で注目されているのが『パワーナップ』です。
今回は、今話題のパワーナップの効果と具体的なやり方についてご紹介します。
目次
パワーナップとは?
パワーナップとは、昼休憩の後などの12時から15時にとる短時間の仮眠のことをいいます。
アメリカで1990年代に提唱されたもので、社会心理学者によると、効率的に仮眠をとることで、脳と体の疲れをリフレッシュする効果があり、午後からの作業効率を向上させることがわかっています。
ほかに、厚生労働省により公表されている『健康づくりのための睡眠指針』にも、短時間昼寝することによって効率アップが期待できることが記されています。
パワーナップの意味や概要
パワーナップには、英語の昼寝やとうたた寝という意味のnapとパワーアップを合わせた言葉で、『短時間の睡眠でも作業効率を大きく上げる効果がある』という意味があります。
現代人は、睡眠不足の人がほとんどで、ストレスを抱えてなかなか眠れなかったり、深夜まで自宅でも仕事をしたり、睡眠時間を削って副業にあてる人も。
こうして、寝不足で疲れてしまった脳をリフレッシュさせるやり方の1つがパワーナップです。
いつの間にか貯まってしまった睡眠不足による作業効率の低下をカバーする効果があると、注目されています。
有名企業も仮眠を推奨する時代
昼食を済ませた後、眠気と戦いながら仕事をしたり、仮眠をとりたいと思ったことは誰にでもあると思います。
むしろ、パワーナップはそんな午後からの仕事も集中したいと思う方に適した方法で、パワーナップグッズも売り切れが続出中です。
午後からの作業効率を上げるためにパワーナップの効果に着目して導入する企業も増えており、Microsoft、Apple、Google、NIKEなどの企業では仮眠スペースを設置したり、睡眠装置を備えるところがあります。
NASAの研究結果でも実証?効果について
パワーナップを科学的に検証したのはNASA(アメリカ航空宇宙局)で、パワーナップを実践した人と、そうでない人の2組に分けて、作業効率に重要とされる注意力や認知力について測定したところ、認知力が34%、注意力に関しては54%も上昇という効果が実証されました。
この研究からも、短時間の睡眠は作業効率のアップを図るのに適していることがわかります。
次で、パワーナップの効果について詳しく解説します。
効率的な仮眠で集中力アップ
パワーナップを正しいやり方で行うことで、仕事や家事で溜まった午前中の疲れを癒して、集中力や判断力、理解力をアップすることができます。
ほかにも疲労がやわらいだり、モチベーションの向上、良いアイデアが浮かびやすくなったという効果があり、脳をリフレッシュして午後からも効率的に仕事したい方におすすめです。
ただし、夜間も一定の睡眠時間をとることは重要で、仮眠を多くとるだけでは注意力が下がることもあるので注意しましょう。
疲労回復や健康促進
疲れた体をリフレッシュさせる効果や、健康促進効果のあるパワーナップは、6時間から8時間の眠ることで心身をゆっくり休められるものですが、寝不足が続いたからといってまとめて眠っても、回復を図ることはできません。
足りない睡眠時間を補うためにも、パワーナップを取り入れる方が増えています。
パワーナップで体と脳の疲れをとって、睡眠時間を補いストレスを軽減することはさまざまな病気を未然に防ぐことにつながり、心身の不調を改善して健康増進を図るだけでなく、健康な生活を意識する余裕が生まれます。
パワーナップの必要性や科学的根拠は?
パワーナップの根拠としては、血糖値に関するものや、ホルモン、消化吸収に関するものなどがあります。
例えば、血糖値に関するものとしては、食後の急激な血糖値の上昇とその後の急激な下降をから低血糖を引き起こし、しっかり睡眠をとっていても食後眠くなってしまうことも。
こうなると、何となく体がだるい、頭がボーっとして集中できない、眠気、頭痛など、人によってはイライラしてしまうこともあり、作業効率は大幅にダウンしてしまいます。
パワーナップは、こういった昼食後に起こりやすい働く上での悩みを解決するのにも必要なものです。
なぜ仮眠をとる必要がある?
作業効率をアップするのに、なぜ仮眠をとる必要があるのでしょうか?
昼食を済ませてデスクに向かったものの、いまいち集中できず仕事がなかなか進まないという経験は誰にでもあるかと思います。
また、日中に仮眠をとることで夜眠れなくなったらどうしようという不安を持つ方もいますが、むしろ、パワーナップを行うことで眠りの質が高まり、朝からすっきりした気分で目覚めることも期待できます。
日中の眠気は、疲弊した脳と体からのサインなので、パワーナップを取り入れて働きやすい環境を自分でつくるようにしてみましょう。
科学的根拠と仮眠に秘める可能性
NASAの研究からも、科学的な根拠が認められており、 パワーナップのその他の科学的根拠として、生体リズムがあり、最も眠くなる時間帯は、午前、午後ともに2時から4時頃とされ、何も対策を立てていないとこの時間に眠くなったり集中力が低下するのはごく自然なことです。
この時間帯は無理に作業を続けるより、仮眠をとって作業効率を上げるのが生理学的な視点からみても理屈に合っています。
現在、パワーナップを行う企業は、Apple、Microsoft、GoogleなどIT関連の企業に多く、集中力の向上だけでなく、インスピレーションが湧きやすくなったりと、自由な発想をもたらし、クリエイティブな場面で良い結果をもたらす可能性があります。
パワーナップの効果を最大限発揮させるやり方
作業効率を大幅にアップするパワーナップですが、効果を最大限に発揮させるには、時間帯、環境、姿勢、などいくつかやり方にもポイントがあります。
また、せっかくパワーナップを取り入れようと思ってもなかなか起きられないことも…。
次で、パワーナップの効果を最大限に発揮するやり方について、解説します。
午後2時~3時までを目安に
パワーナップのコツとしては、午後2時~3時までに行うやり方がおすすめです。
これは、体内時計からしても最も眠くなるのが、午後2時~3時だからで、スペインでもシエスタと呼ばれる昼寝する習慣があります。
何だか頭がぼんやりして考えがまとまりにくくなりがちなこの時間帯にパワーナップを行うことで、頭をすっきりさせることができます。
また、午後2時~3時の間なら、お昼過ぎに仮眠をとったからといって夜寝不足になってしまう心配もありません。
仮眠時間は20~30分程度がベスト
パワーナップを行う際は、20~30分程度の仮眠時間をとるやり方がベストといわれています。
パワーナップでより効果を得るためのやり方として、熟睡する前の20分ほどで起きるようにするのがコツで、30分を過ぎるとかえって頭がすっきりしないので、タイマーをかけるなど工夫するようにしましょう。
また、NASAによると、26分にわたってパワーナップを行う実験をしたところ、認知力、注意力ともに上昇した結果が出ています。
コーヒーなどでカフェインを摂る
パワーナップの方法として、仮眠をとる前にコーヒーなどでカフェインを摂るやり方があります。
これは、カフェインには、眠気を覚ましたり、疲労を回復する効果があり、紅茶やコーヒーを飲んでから行うと仮眠から目が覚めやすくなる効果があるからです。
ほかに、玉露に含まれるカフェイン量は160mgとレギュラーコーヒーより多く、パワーナップを行う際は玉露を飲んでから行うのもおすすめです。
光を抑えて薄暗い環境で仮眠する
パワーナップの効果的なやり方として、光を抑えて薄暗い環境で仮眠をとる方法があります。
睡眠時に分泌されるホルモンであるメラトニンは、光の影響を受けて減少することがあり、強い明るさの中で過ごしていると体内時計が乱れ、目覚めにくくなることもあるので、ネックピローなどを使って顔をうつ伏せにして眠るのがおすすめです。
パワーナップを行う際は、アイマスクを付けたり、ディスプレイの輝度や通知音をオフにし、部屋の照明を暗めに設定しておくようにしましょう。
心地よい雑音(ホワイトノイズ)を聞きながら
パワーナップには、『ホワイトノイズ』と呼ばれる心地良い雑音を聞きながら思考を休ませ、より効果を高めるやり方もおすすめです。
雑音といっても人の話す声などではなく、優しい自然音である川のせせらぎ、雨音、焚火の音のような音をイヤフォンを使って聴きます。
ホワイトノイズはYouTubeやアプリでも検索することができるので、気になった方は『ホワイトノイズ bgm』『パワーナップ bgm』などのワードで検索してぴったりのツールを探してみましょう。
リラックスできる姿勢をつくる
パワーナップの正しいやり方として、リラックスできる姿勢をつくっておくことが大切です。
パワーナップを行う際は、机にクッションを置いて顔を伏せたり、背もたれに体重を預けたり、リクライニング機能を使う場合は120度ぐらいまでにしておくのがおすすめで、横になって眠らないことがポイントです。
座って眠ることで、首部分の交感神経を適度に刺激し、熟睡してしまうのを防ぎます。
また、安全のためにも、ある程度の背もたれの高さがあるものを使用するとよいでしょう。
起きれない・眠れない時の対処法
「パワーナップをやってみたけれど起きられなかった」という方も多くいますが、ここまでの内容でもわかる通り。そのような場合の対処法はアラームを設定したり、パワーナップを行う30分前にコーヒーや緑茶などのカフェインを多く含む飲み物を飲んでおくとすっきりと目覚めやすくなります。
また、パワーナップを取り入れたいけれどなかなか眠れない時の対処法に、とりあえず目を閉じるというやり方があります。
視界からの情報をシャットアウトすることで、脳のリフレッシュを図ることができるので、眠れない場合は、目を閉じたり、アイピローを使うようにしてみましょう。
パワーナップのメリット・デメリット
簡単にですが、パワーナップのメリット・デメリットを紹介します。
実際にパワーナップを実践している方の口コミや声を紹介しつつまとめてみました。
パワーナップのメリット
パワーナップについてのメリットとして
- 頭がスッキリする
- 集中力がアップする
ということがあげられます。
実際にパワーナップを試した方の口コミにも「パワーナップのおかげで家事や仕事のタスクをこなせるようになった」「眠気から復活してすっきりした」という声も多数みられました。
https://twitter.com/shindy_emotion/status/1444551063990779906
https://twitter.com/mashumaron_ch/status/1443535011605405698
大手企業が導入していたりしっかりした根拠があることから、パワーナップを取り入れたいと考える人は多くいるようです。
パワーナップのデメリット
反対にデメリットとしては、以下のようなことが挙げられます。
- 起きることができない
- もともと少しの雑音でも目が覚めてしまう方には向かない
などがあげられます。
実際にパワーナップを試した方の口コミにも「全然眠れなかった」「なかなか起きられない」という声も多数みられました。
コーヒー飲んで15分のパワーナップ、、、全然眠れなかった。
こんなんでもいいのか?(いいのだ)— 禎 (@towazugatarida) October 3, 2021
パワーナップいいよね。なかなか起きられないけど;;
— TINA (@TINA_ringlet) June 15, 2020
パワーナップはやり方が重要で、眠れない場合、起きられない場合の対処法などを知っておく必要があるようです。
パワーナップにおすすめグッズやアイテム
パワーナップにぴったりのグッズやアイテムがあるので、ご紹介します。
パワーナップは椅子に座って行う人がほとんどですが、そんなとき気になるのが重い頭が傾く際の首への負担です。
そんなときおすすめなのが、『Coriトラベルピロー』、旅行用のネックピローですが、使いたい状況や、寝姿勢に合わせて自在に調整することができるだけでなく、形状記憶、心地いい肌触りを実現しています。
頭、首、脊椎を直線に保つことのできる人間工学に基づいたネックピローが、パワーナップをサポートしてくれるでしょう。
また、パワーナップに便利なアイテムとして、アプリを利用するやり方があります。
『眠る音楽療法音サプリ』は、パワーナップしたいけどなかなか眠れないという方におすすめの音楽療法専用のアプリです。
アプリを利用することで、スムーズに仮眠をとることができます。
パワーナップの効果的なやり方やメリット・デメリットまとめ
パワーナップ行うことで、脳の疲れをリフレッシュし、パフォーマンスを向上させることができます。
パワーナップで眠れない場合は、睡眠導入音楽を利用したり、部屋を暗くしたり眠りやすい環境をつくってあげることや、パワーナップで時間内に目が覚めない場合は、カフェインを含むドリンクを飲んでおくなどすることがパワーナップを上手に行うコツです。
また、パワーナップ後のストレッチは心地よく、健康的な習慣が身に着くので、仕事以外にも日中を自宅で過ごす方にもおすすめです。
あなたも、積極的にパワーナップを取り入れて、仕事や日々のタスクなど、作業効率を向上させられるように実践してみましょう。